2016年1月19日火曜日

完成度の高い名作山岳小説『神々の山嶺(いただき)〈下〉』感想

  • 公開日:2016年01月19日

はじめに


あと3ヶ月もすれば登山の季節となります。
登山に対するテンションを徐々にあげていこうと山岳小説を手にとって読みました。その感想を記載した記事です。

あらすじ


ナラダール・ラゼンドラに会いに行った深町と羽生は、共に岸亮子を助けにいく。
その道程で亮子が乗っていた車が崖から落ちそうになるが、羽生は現役クライマーの能力を発揮して亮子を助ける。
羽生は、エヴェレスト無酸素登頂をすることを深町と亮子に告げる。

亮子は日本に帰るが、深町は羽生を追ってエヴェレストへと戻ることに決める。
羽生ならやり遂げるのではないかという思いがあった。
再び羽生を探すことになった深町はダワ・ザンブーに出会い、アンツエリンと羽生の関係を教えてもらう。

羽生がチベットに残っているのはアンツエリンの尽力によるものであり、そして今回の挑戦である無酸素登頂のためであった。
また、この登頂は法律違反であることも知る。
羽生はすでに高地トレーニングを終え、準備は万端。 それを聞いた深町は、羽生が高度順応のトレーニングをしているポカルデ・ピークに向かって羽生を待つことにした。

羽生と再びであった深町は、羽生からマロリーのカメラを受け取る。
「山が終わったら好きにすればよい」
しかし深町は、このカメラのことが自分の中で風化していたことに気づいた。

たとえ仕事でなくとも羽生についていく。そう決めた深町は羽生のエヴェレスト登頂の計画を聞き出す。 それは、3泊4日でエヴェレスト登頂するという驚きの計画だった。 無謀だと思う深町だが、羽生の考え抜かれた説明を受け、この男なら成し遂げるかもしれないとの思いを抱く。

そして、その計画が実行できる天候の日を待つこと12日。
ついに、深町と羽生はエヴェレスト無酸素登頂に向かった。

1日目。深町は苦労しながらもなんとか羽生についていく。

2日目。深町は氷壁から落ちそうになるが、ぎりぎりのところで羽生に助けられた。
「お前も死ぬ。置いてけ。」
生を諦めかけた深町を羽生は人間離れした技術と力で助ける。

その晩、谷川岳の事故での羽生と岸のロープは岸が切ったのだと知らされる。羽生はずっと過去を引きずっていたことを理解する。

3日目。もう羽生を追うことができない深町はエヴェレストを下りることを決め、羽生はさらに頂上を目指していった。高度の下がった場所で、深町は羽生を激写した。しかし、カメラ越しのファインダーの先で、深町は羽生が雪煙の中に消えていくのを目撃する。
羽生が死ぬはずがない。羽生はアンツエリンと共に羽生の帰還をひたすら待ったが、羽生は帰ってこなかった。深町は、結局一人で日本を戻った。

しかし、日本に帰った深町は、不完全燃焼の精神状態であった。
毎日8キロのランニングをトレーニングとして課していたは、以前のエベレストの登山の仲間との飲み会の席で、自分がエヴェレストに未練があることを自覚する。そして、恋人となっていた涼子にエヴェレストに行くように言われ、深町は再度エヴェレストに挑戦することを決める。

深町はさらにトレーニングを積み、アンツエリンにポーターを頼んで、エヴェレストへ。
苦労を重ねた深町は、エヴェレストの山頂に到着する。

しかし、エヴェレストの帰り道、力尽きそうになった深町はチベット側の岩場で倒れてしまう。
岩場には帰ってこなかった羽生の姿があった。
羽生の死に顔は、生きようとする執念が見えた。最後まで羽生は生きて帰ることを諦めなかったのだ。

羽生の姿に生きて帰ろうと、再び折れかけた心を立て直した深町はエヴェレストを下りはじめた。

感想


世界最高峰のエヴェレストを舞台にした物語です。
冒険小説としての完成度は高く、登山を題材にした物語の中でも屈指の作品です。

下巻のエヴェレスト登攀のシーンは、時間を忘れてよみふけりました。

登山に興味があるひとはもちろん、登山に興味が無い人でも楽しく読める作品に仕上がっています。

そして、この作品は2016年3月12日から岡田准一の主演で映画が公開されることになっています。
タイトルは「エヴェレスト 神々の山嶺(いただき)」になっています。

深町誠(ふかまちまこと)を岡田准一が演じ、羽生丈二を阿部寛が演じることになっています。
今から公開が楽しみな作品です。


マウンテンチャンネル

他の読書に関する記事

この記事がお役にたちましたらシェアをお願いします

このエントリーをはてなブックマークに追加

0 件のコメント:

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...